国家通貨

ビットコインに価値の裏づけがあるかないかの判断は、むずかしい。なにを「価値の裏づけ」とみるかがよくわからないからです。いずれにしても通貨に具体的な価値の裏づけなど不要です。通貨になりそうな資産は、ある程度以上の人たちがそれを通貨と信じて受け取ってくれるなら、実際に通貨として機能するからです。いまの国家通貨にも、具体的な価値の裏づけはほとんどありません。経済面でビットコインの欠点として指摘されやすい内容の多くは、じつは、既存の国家通貨にも当てはまるものです。通貨の価値の裏づけがわかりやすかったのは、金や銀がたっぷりと使われた硬貨です。そうした金属製の硬貨が通貨の主流だった昔にも、「国家が発行する通貨なら、それにふくまれる金属の価値による裏づけなどいらない」と主張した人たちはいました。

現実に古代から、みんなが通貨と信じれば通貨として通用してきました。通貨に選ばれやすく、いまも国際決済では通貨としての性質をもつgoldは、宇宙空聞から蹟石について地球に降ってきたものですから、地球上でつくれませんので、希少性が価値につながっています。そもそも、いまの国家通貨の裏づけは原則として金融資産です。たとえば、国家通貨の独占的発行者である中央銀行は、民間の経済活動にとわりびきもなう金融取引に使われた商業手形を割引した民間銀行から、転売のかたちで買い、その商業手形を裏づけとして現金通貨を発行します。

他方で日本では、民間の経済活動で生み出されて取引されるモノの付加価値は、その4分の3が第三次産業によって生産されます。おおまかにいえば、第三次産業とはサービス業であり、その価値は取引時に消えてしまいやすい性質をもちます。たとえば、なにかを輸送してもらったことに対してカネを支払う代わりに、まずは商業手形を渡すのですが、その時点ですでに輸送サービスはおこなわれていて、新しく輸送サービスを受ける権利のような価値が、商業手形の価値の裏づけとして残っていたりはしません。